一般社団法人日本建築構造技術者協会関東甲信越支部
JSCA東京特別講演会 <報告> (2024/5/17開催)
JSCA東京会員の皆様
2024年5月17日、JIA建築家会館にて、一般社団法人日本建築構造技術者協会関東甲信越支部JSCA東京第22回(2024年度)通常総会に引き続き1時間程の特別講演会を開催いたしました。この講演は稲山正弘先生(東京大学名誉教授・ホルツストラ主宰)をお招きし、「一般流通材とプレカットにより経済的に中層木造建築をつくる」というテーマでご講演頂きました。特別講演会は会場出席者28名に加えZOOMウェビナ-参加者101名のJSCA会員もとで開催いたしました。
稲山先生は木質構造の第一人者として、研究と設計の両面から最先端の木造建築を生み出し続けられてこられました。現在は「一般社団法人 中大規模木造プレカット技術協会(PWA協会)」の代表理事をしておられます。今回の講演内容は、中大規模の木造建築が期待されながらも経済的理由からなかなか普及しないという現状に対し、一般流通材を使用し地域のプレカット工場の加工でも中層、大スパンを可能とする技術のご報告です。
主な提案は、接合部標準化、標準屋根トラス仕様、高耐力壁(組子格子耐力壁など)、防耐火のポイントです。詳しくは、PWA協会のホームペ-ジから設計支援資料をダウンロ-ドできます。
特に印象に残ったのは斜め格子耐力壁の実験結果で、一見華奢に見える壁が壁倍率9.3倍に相当する許容応力度を確認できたという報告です。これは金物無しで木の支圧による荷重伝達と、荷重の分散化の効果によるものだそうです。
もう一つは、純木造実物大5階建てビルの振動実験では、震度7クラスの地震動を2回連続で加えた実験ビデオを見ることができたことです。振動実験ビデオでは損傷は無いように見えました。これは木造の技術が進化したことによる、安全性の向上が確認できる貴重な映像であるように思えました。