JSCA東京実務者研修「技術講座」
神田順先生「これからの建築構造工学を考える 第1回 荷重と極値分布」報告
関東甲信越支部 JSCA東京 研修委員会
JSCA会員の皆様
去る、2019年10月8日、JSCA東京、ASDO共催の実務者研修会「これからの建築構造工学を考える 第1回 荷重と極値分布」を、日本大学理工学部駿河台校舎1号館121会議室にて開催しましたので報告致します。
東京大学名誉教授、神田順先生を講師にお迎えし、全4回の予定となる講演の初回となります。
講演では、不確定性の高い自然界の外力(風、雪、地震など)に対して、建築構造物がどの程度まで安全かを考えるうえで、荷重の大きさを定量的に設定するためには、確率論を用いることが有用かつ不可欠であることを解説して頂きました。不確定性の高い外力を、過去の年間最大値から、確率論に基づき評価するためには、「グンベル分布」などの理論的な極値分布を用いることが有用であることを、数学的な特性をふまえてご説明頂き、また、グンベル分布などでは対応できない、工学的な上限値や下限値を評価することが可能な極値分布(カンダ分布)をご考案されたことも、ご紹介頂きました。このような確率論によるモデルを利用して、専門家と市民がリスクコミュニケーションを図ることが、本来の性能設計のあるべき姿ではないかとの提言を頂きました。
当日は80名を超える参加者にご聴講頂き、質疑応答においても有意義な意見交換がなされておりました。次回(2回目)は1月15日開催の予定です。会員の皆様におかれましては、奮ってご参加頂ければと思います。
プログラム :趣旨説明 金田勝徳 氏 (構造計画プラス・ワン)
講演 神田順 先生 (東京大学名誉教授)